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青二才、靴を買う 【青二才の哲学エッセイ vol.32】

問題提起編

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2020-08-02 16:10:54

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出会い

運命

 10万円で、革靴を買うことにした。
 今仕事で履いている革靴は、使い始めて7年くらいになる。週末に必ず手入れをし、大切に使ってきたけれども、さすがにそろそろごまかせなくなってきた。それに、営業として新人にはもう見られなくなってきて、装いもワンアップしたいという気持ちもあった。このタイミングでの10万円である。背中を押されて新調することにした。

 目星をつけているものがあったけど、その靴はもう店頭から無くなっていた。上品なネイビーのスウェード生地に、半年以上前から私は一目惚れしていたのに残念だ。思い立った時に行動しないと大体こうやって後悔する。それなりの値段だったけど、時には無理も必要なのかもしれない。未練タラタラの状態ではあったが他を当たることにする。

 ネイビーくんがあったお店は、普段からよく利用する駅ビルの中にある。その駅ビルの中を探し回ったけど、半年以上理想であり続けたネイビーくんを超える出会いはそうそうない。沈んだ気持ちのまま、普段はあまり行かない百貨店に足を運ぶことにした。

 エレベーターを上がり、紳士物のコーナーへ。見たことのあるロゴに足が止まる。HUGO BOSSだ!以前友達の買い物に付き合った時に教えてもらい、一緒にスーツやネクタイを見て、いい印象を持っていた。こんな近くにあったなんて。急に高揚してきた。今思うと、ここで勝負はついていた。

 ネイビーと黒の革靴があった。どっちも負けず劣らずかっこいい。予算が許すならどっちも買いたい。ただそうはいかなかったので、デザイン、今持っているスーツとの相性、値段など、いろんな要素を勘案し、黒に決めた。ネイビーくんへの未練はもう無くなっていた(ごめんよ)。試着した自分の姿は、靴に履かされているようにも見えたけど、靴に似合うようにこれからなればいいかと思った。長い付き合いになるわけだし。

 もしかしたら、もっともっと探し回ったり、ネットを駆使したりすれば、さらにしっくりくる一品に出会えたかもしれない。そうかもしれないけど、それはわからないし、探し当てることが一番大切なことだとは思わない。私はその時その時の偶然の出会いを大事にしたい。選択がある程度間違っていなければ、生かすも殺すもその後の自分次第である。

 新しい相棒になったBOSSくん。とりあえず会社の人に自慢してまわった。仲のいいお客さんにも言いたくて仕方ない。「足元を見られる」って普段は勘弁だが、期間限定で今だけは存分に見て頂きたい。

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