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会社の成長に水を差してみる 【青二才の哲学エッセイ vol.4】

問題提起編

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2019-12-14 18:29:59

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哲学

観念

会社

目的と手段

これから仕事が増える。売り上げが伸びそうだ。
そんなことを先日、上層部で営業も担当している人が言っていた。私も同じ営業であるので、「売り上げが増えるのか、いいことだな」とか「自分も頑張らなければ」とか、月並みなことを思っていた。自分の給料に反映されて欲しいというのが一番の思いだけれども。本当にそうなるかは知らん。でもとにかく、営業ということもあり、喜ばしいことと捉えていた。

ただ、仕事が増える、売り上げが伸びることに対して、会社のみんながみんな手放しで喜んでいるのかと言うとそうではない。うちは小さな会社であり、営業がとってきた仕事を製造の方が工場で作ることがほとんどで、現場の製造スタッフと直接お話しすることもしょっちゅうだ。件の話のあった後日、製造のある方が、「これから仕事が増えるらしいね」と少し嫌そうなニュアンスで言っていた。自分と製造部の残業時間表を見ながら話していたので出た言葉でもあるかもしれない。確かに自分の負担が増えるのは嫌だ。そう簡単に急に人を増やせるものではないということはみんなよくわかっている。それにうちの会社は子供を持つ主婦(主夫)さんも多く、残業をすると本当にきついのだろうなというのは容易に想像がつく。そんなことは社長をはじめとする上層部ももちろん承知しているはずだが、聞いたら怒りそうなのが目に見える。「会社の成長の足を引っ張るようなことを言うんじゃない」とか「仕事が増えるんだから喜んでやれ」みたいなことを言いそうである。確かに会社の売り上げ、利益を増やすという点から見ると阻害している要因になるのかもしれない。会社の成長に寄与できない人たちということになるのかもしれない。

ただ、売り上げを伸ばすことが成長なのだろうか。成長しなくてはいけないのだろうか。そもそも、会社の成長ってなんだろうか。

うちの社員の皆さんは主婦さんが多く、年齢層が結構高めということもあるのかもしれないが、経験積んでスキルを高めたいだとか、給料をもっともっと増やしたいとかいう意識高くてバリバリ働くみたいな人はほとんどいない。もちろん給料が増えるのは嬉しいことであるが、それよりも残業が減った方が嬉しいのかもしれない。安定志向が強いと言える。(もちろんどっちが良いとかそういう問題ではない)社員たちを見渡した時、とにかく会社を成長させたいという上層部の想いは、独りよがりなエゴであるようにも感じてしまう。会社は必ずしも成長させなければならないのだろうか。

売り上げの増大、利益の増大、規模の増大を企業の最大目的とするなら、働ける限り働いてもらうのが手っ取り早い。利潤の最大化が良いこととされてきた歴史があり、今でもそういう風潮が残る。働き手の私たちもそれに従うべきなのか。

少し立ち止まって考えたい。私たちは何のために働くのだろう。会社のためだろうか。自分のやりたいことが、会社の方向性にマッチしていればそれでいいかもしれない。経営陣は特にそうかもしれない。でも、そうは言い切れない人がほとんどだと思う。10人いれば10通りの働き方に対する欲望があるのは当然のことである。そう考えた時、そもそも、会社とは何のためにあるのだろう。

就活の時に企業の理念、行動指針なるものを嫌という程見たが、伝えたいことはだいたい同じだったことをよく覚えている。社会に対して貢献する、だとか、世のため人のために行動する、みたいな。こういった言葉自体はもちろん素晴らしいことだ。ただ一つ気になるのは、目線が外向きに偏っていないだろうか。株主や競合他社などがその目線の先に当たるかもしれない。

社会というのは「人々が集まって生活を営むその集団」のことを指す。どんな人であれ、この社会の構成員の一員である。つまり、企業の内側にいる従業員も「社会に対して貢献する」と言った時のその「社会」の一員である。顧客や株主に貢献できていたとしても、従業員、下請けの協力会社などの人たちに貢献できていないのであれば、「社会に貢献した」とは言えないのではないだろうか。名の知れた業績が好調とされている大企業でも、こうした人達を蔑ろにしていることを報じるニュースが相次いでいる。社会全体として少しずつ「今のままでいいのか」という空気が醸成されてきている現れなのかもしれないが。

企業の目的を社会への貢献とするのなら、携わる人全てに対して配慮が必要であるはずだ。辞書的な意味での成長とは「物事が発達し大きくなること、規模の増大」とある。よって、成長はあくまで副産物、貢献に対する手段や結果と捉えるべきなのではないだろうか。本当に社会に貢献できている企業は、こういった意味での成長を自然としているのかもしれない。成長している企業の中でも、成長を「目的」としている企業なのか、あくまで「結果である」と捉える企業なのかでは、両社の実情は大きく異なる。当然、こうした貢献と規模の増大という意味での成長が相反することはない。個人的な意見だが、これからの時代、企業を評価する上で、利潤とは別にして企業の新たな指標が必要なのではないか。企業に関わる様々な人や物事(地球環境保護など)に対する貢献を一つの指標で表せたらいいのではと思う。企業の目指すもの、見られるところが変われば、一つ一つの行動も変わるのではないだろうか。



追記
平社員が色々と偉そうに口出ししたが、会社の舵取りをするって本当に大変なんだなと思う。ホントにホントですよ。ただ、一つ言いたいのは、納得して働きたいだけなんです。会社の目指すところとか、行動指針とか、どうしてこの仕事が必要なのかとか、待遇とか。会社が厳しい状況で給料大幅に上げろとか言わないから、ちゃんと説明してくれて納得できれば自分もそりゃ頑張りますよ。まあ自分からコミュニケーションとればいいだけの話なのかもしれないですけど。
最後は居酒屋でのボヤキみたいになってしまって恐縮ですが、今回はこの辺で。

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