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人はなぜ逃げおくれるのか―災害の心理学

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著者: 広瀬 弘忠

出版社: 集英社

 首都直下型地震、南海トラフ地震。このような大規模地震だけではなく、常に地震災害に見舞われる可能性を持っている。にもかかわらず、水や食糧の備蓄はおろか、避難場所すら把握できていない。このままではいつか起こる大規模地震で必ず被害にあう。そう思い本書を手に取った。
 災害の原因で1番多いのが地震。地震によって起こる津波も非常に脅威をもたらす。被害が大きくなるとわかっているのであれば、耐震性などの防災に力を注げばいいのではと思う。しかし、ここに防災のジレンマがある。防災はいつどこで起きるかわからない。しかもどの程度、耐震性を保てば被害が発生しないのかはわからない。極端に耐震性を向上させても費用だけかさみ、しかも本当にそれで問題ないのかは誰にもわからない。防災で被害をなくすことはできないのである。それではどう減災できるか。重要なのは避難行動である。避難行動とは何とも古典的であるように思えるが、科学的な見地からしても現在利用可能な最も重要な方法なのである。南海トラフ地震において、住民が直ちに避難行動をおこせば、津波による死者は少なくとも1/2程度にまで減らせるとまで言われている。避難行動は非常に有効な手段なのである。避難行動が有効であることは学校の避難訓練で理解していると思うが、実際の災害ではなかなか行動できない。それは私たちの心は予期せぬ委譲や危険に対してある程度、鈍感にできているのだ。常に移りゆく外界の変化にいちいち反応していたら神経が疲れ果ててしまうからだ。逃げ遅れないためには災害が発生した際に、正確な情報の収集に全力をつくし、何が最善であるか自ら判断する必要がある。
 避難行動は模倣性と感染性があると言われている。あなたが正確な情報を得て危険性を察知し、避難行動をすれば周りの人たちも一緒に避難行動をするということである。あなたの避難行動があなただけでなく、多くの命を救うことが救うことができる。災害から逃げ遅れないために、あなたの行動が運命を握っているかもしれない。

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written by 左利きは僕のあこがれ