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サイバーセキュリティ

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著者: 谷脇 康彦

出版社: 岩波書店

 テレビなどの家電、車、防犯カメラ、電力メーターといったあらゆる機器がインターネットに接続できるようになっている。これらの機器から収集されるビックデータはAIで解析され、人々の暮らしをより豊かにしてくれるだろう。ただ、あなたは気づいているだろうか。これらの機器もハッカーによる攻撃対象となっているということを。サイバーセキュリティを考えない安易なパスワード設定、ソフトウェアの脆弱性の放置は、ハッカーに攻撃してくださいといっているものだ。あなたのデータが盗まれるだけならまだしも、踏み台として他者への攻撃に関与してしまう可能性すらある。気づかないうちに「被害者」へ。そして「加害者」へとなってしまうのである。
 著者は、内閣官房内閣サイバーセキュリティセンターで勤務し、総務省においても数年にわたりサイバーセキュリティに関連する業務を担当してきた。行政の立場からサイバーセキュリティを全体から俯瞰して解説している。本書で紹介されているNICT(情報通信研究機構)のセキュリティレポートを見ると、世界のサイバーセキュリティの現状がわかり、日本がどのような脅威にさられているのかが容易に把握することができる。また、地方自治体の情報システム担当者への教育やセキュリティエンジニアの育成に関する情報も知ることができる。CYDER、enPiT-Proやsechack365など、初歩的なセキュリティ教育から支援ツール開発まで、幅広い取り組みがある。セキュリティに興味がある方は、ぜひHPを閲覧してほしい。
 「わたしには関係ない話」。そう思っている人もいるかもしれない。著者は『サイバーセキュリティは受けているかいないかの違いではなく、攻撃を受けたことに気づいているかいないかだけの違い』と指摘するようにすべての個人が攻撃対象の時代に来ていると警鐘を鳴らす。関係ないと思っているあなた、あなたはすでに標的型メールなどのサイバー攻撃の餌食になっているかもしれない。

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written by 左利きは僕のあこがれ